やり甲斐 カケ込み寺

第2章教える立場の喜び【導き】

#3 数字に追われるな! 数字は追いかけるもの!!

仕事をしていく上で数字は非常に大切なものです。
目標とはスタートがありゴールがあります。
上司から、「お客様の為に、皆さん頑張っていきましょう!!」
このメッセージだけでは、どこまで頑張っていいか解りませんよね。
その為に数字を使います。
「数字が目標って?」
「数字を出されると何か重い感じになるよ(怒)」
「数字を出されるとモチベーション下がりそう(汗)」

お気持ちは十分に解ります(苦笑い)
数字って聞くと、それだけで疲れてしまいますよね(汗)
では以下の例で説明させて頂きますね。

例)舵取りが部下に、「もう少し頑張ってみよう!」と言葉を掛けました。
  そのとき部下の思いは、「えー、わたしムチャ頑張っているのに(怒)」
  と心で思ってしまいました。
  舵取りは部下が仕事を完璧にマスター出来るように掛けた言葉です。
  部下は仕事をマスター出来るように精一杯に頑張っていたから驚いたと思います。
  舵取り、部下、こんな不幸なことはありませんよね。

  ではもし数字があったら!
  部下の現状の評価は10点満点の4点だとします。
  もちろん4点の理由と改善に向けてのフォローの言葉は絶対に必要です。
  そしたらどうでしょうか!?
  少なくとも4点を見れば「もう少しだ!」と部下も思うはずです。
  
この様に数字の計りは誰が見ても価値観が一緒であり平等性が保たれます
この事から仕事の中で数字を用いることは、仕事の目標を明確にするためにも
非常に大切なものになります。

一般的な仕事では売上額を目標にあげているとこが多いと思います。
「売上額って何?」
売上額とは、
基本的にお客様(最終消費者)が商品をお買上げになった時に支払われる代金です。(※業種によっては売上の指標は異なります)
そして舵取りとして十分に理解しておくべきことは、この商品代金の一部が従業員に支払われる給与であることです。

お客様が支払う商品代金=売上額=給与(一部)

舵取りの皆さんは働いている会社から売上額の目標を提示されていると思います。
そしてこの目標を達成することが皆さんの使命になります。
「使命とか言われると疲れちゃうよー(汗)」
そうだよね(笑)
やらされている感があって気が重いよね!
でもこれだけはごめんなさい・・・
売上目標に向かって頑張っていくことが普通です!
これでいかがですか!?
「じゃー、なぜ普通なの?」
それは先程お伝えしたとおり、お客様がお支払いする商品代金が皆さんの
会社から頂く給与だからです。
お金(給与)を頂く以上、ただで頂く訳にはいきません。
給与泥棒になってしまいます(笑)
お金(給与)を頂くぶん、お客様に対して恩返しをしていくことが普通なことです。
恩返しのやり方は各会社、またはあなたの配属されている部署ごとに違うと思います。

今回はある衣料品店舗(A店)を任された舵取り(店長)が持つべき数字目標と利用方法を紹介します。
まずは必要な数字は以下の数字になります。

(売場の数字)
① 1年間の売上予算(1年間の売上目標)
② 月の売上予算(1年間の売上を12ヶ月に分けた売上目標)
③ 日割売上予算(1ヶ月の売上を日ごとに分けた売上目標)
④ 個人予算(1日の各スタッフの日割売上目標)
  ※個人予算は決してノルマではありません!!

(従業員の数字)
① 個人予算(1日の各スタッフの日割売上目標)
② アプローチ予算(接客:スタッフがお客様に声を掛ける人数)
③ レジ客数(スタッフがお客様をレジに連れてきた人数:お買上げ客数)
④ 客単価(スタッフがレジに連れてきたお客様の平均お買上げ金額)

 
店長に必要な数字になります。
この数字に振り回されてしまうと、店長には少しの余裕もなくなってしまいます。
その代わり数字を使いこなせたら、店長としてお客様・上司、そして
部下から多大な信頼を得ることになるでしょう。
そして最高の喜びとやり甲斐を得ることが出来るはずです。

「やり甲斐は持ちたいけど、数字は苦手だし・・・(汗)」
私も学生時代の数学は苦手でしたよ(笑)
大丈夫です!
この数字は学生時代の数学と違い、問題を解いたりするものでありません。
決まった数字です。
大切なことは決まった数字(目標)に執着心を持つことです!

(売場の数字)の①~④で何か気がつきませんか?
「数字なんか無いし、解るかー(怒)」
すみません!そうでした(汗)
①~④に数字を入れると以下のようになります。

① 年間売上予算:120,000,000円(1年間の総予算)
② 月売上予算:10,000,000円 (年間売上予算を12ヶ月に平均分け)
  
※120,000,000円÷12ヶ月=10,000,000円
③ 日割売上予算:330,000円(月売上予算を30日に平均分け)
 
 ※10,000,000円÷30日=333,333円(端数切り捨て:330,000円)
④ 個人予算:55,000円(1日6名体制の場合)
  
※330,000円÷6名=55,000円

①から④に向けて数字が小さくなっていることが解ります。
ここで最も重要なことは目標予算の細分化です。
目標予算の細分化のメリットは以下の3つです。

1 目標達成に向けて具体的な行動がとれる
2 目標達成に向けて具体的な問題点の改善がとれる
3 目標達成に向けて具体的な部下とのコミュニケーションがとれる

1年間は365日あります。
365日先を見て物事を考えても、抽象的なことしか出てきません。
「お客様の為に、皆さん一生懸命に頑張りましょう!」
こんな言葉を掛けるぐらいで、どの様に何に向かって頑張っていいのか
漠然としたものになります。
365日先の目標の数字を30日(月単位)の数字目標に、更に1日(日単位)の数字目標に、最後は1日の目標予算をスタッフ全員で達成することが重要になります。

そして④の個人予算の55,000円をもっと細分化していきます。
それが「従業員の数字」の①~④になります。
「数字は苦手!疲れたー(涙)」
そう言わずに!
業種によって違いますが、目標予算の細分化の方程式のパターンは1つだけです。
1つのパターンだけ理解するだけですよ(笑)
大丈夫!!
絶対にあなたは最高の店長になりますよ!!
「従業員の数字」の①から④に数字を入れていきます。

《本日の予算(1日):330,000円》
①個人予算:55,000円(1日の1名当たりの予算)
 
※330,000円÷6名=55,000円
②アプローチ予算:22客(スタッフがお客様に声を掛ける人数)
 ※22名に声を掛け(接客)して11名のお客様が商品をお買上げになる
③レジ客数:11名(スタッフがお客様をレジに連れてきた人数:お買上げ客数)
④客単価:5,000円(スタッフがレジに連れてきたお客様の平均お買上げ金額)
 ※5,000円×11名=55,000円

「従業員の数字」①から④が、部下と向き合う日々の目標になります。
この目標の立て方は部下の個人申告がベストだと思います。
以下の流れでコミュニケーションをとってください。

店長: 「今日の予算は330,000円になります。」
    「今日は6名体制だから1名55,000円かな。」
    ※部下の能力に合わせて金額を割り振りするのがベスト
    「じゃーBさん、Bさんが接客してお買上げになられるお客様の金額は
     一人あたり平均どれぐらい。」

Bさん:「私は、トップスとボトムスを上下セットで2枚買って頂けるように
お客様にお勧めするので5,000円を目標にします。」

店長: 「了解!」
    「客単価5,000円ならレジ客数は何人になる?」
    「Bさんの接客で買ってくださるお客様の人数は何人必要?」

Bさん:「私の今日の予算は55,000円ですよね。」
    「客単価の目標が5,000円ですから・・・」

店長: 「人数の出し方解る?」

Bさん:「はい、55,000円を客単価の5,000円で割ります。」
    「えーと、11名です。」
    ※本日予算55,000円÷5,000円=11名
店長: 「正解!」
    「じゃーBさんは、声掛け(接客)したお客様の中で、何人のお客様に買ってもらえそう?」

Bさん:「2名に声掛け(接客)して、1名のお客様に買って頂くことを目標にします。」

店長: 「すごいねー!」
    「2名に対して1名のお客様に買って頂くから、確立は50%だ(笑)」
    「と言うことは、アプローチ客数は何人?」

Bさん:「11名(50%)の倍ですから22名です。」

店長: 「じゃー今日のBさんの目標は、アプローチ客数22名・客単価5,000円・レジ客数11名だね。」
    「Bさん、頑張っていこう!!」

目標予算の細分化の方程式は1つだけです。
この衣料品店舗A店の年間売上予算1億2,000万円は365日の目標予算です。
これを1日まで細分化した日割予算33万円が年間売上目標の原点になります。
そして日割売上目標の33万を5.5万の従業員1名の個人目標まで落とし込んだものです。
年間売上予算1億2,000万はお客様から頂く商品代金が積み上がった金額です。更に従業員が個人予算の5.5万の目標達成の為に、アプローチ予算・客単価予算・客数予算を組んでいきます。
衣料品店舗A店の店長は、
① 目標予算に執着心を持つこと!
② 目標予算の細分化の方程式をマスターすること!
③ 部下の個人予算が達成出来るように、アプローチ予算・客単価予算・客数予 算の数字を使って接客力アップに向けて導いていくこと!

多くの会社で1年間をワンサイクルとして目標売上予算があると思います。
舵取りは部下と一緒に業務をおこなっていくうえで、この目標売上予算を細分化した一番小さい予算額でおこなうのがベストです。
なぜならば解りやすい身近な数字であり、様々な具体的な行動が取りやすいからです。
この具体的な行動が、「お客様への恩返し」の行動です。