希望の星

# 悲しすぎる親の都合での犠牲者

今年の1月22日未明、福島県いわき市の水石山公園の駐車場に止められた車の中から4人の遺体が発見された。
4人は家族で助手席から母親(43才)、後部座席から息子の中学校3年生の歩夢さん(15才)、娘(双子)の中学校2年生の茅乃さん(13才)に海音さん(13才)が亡くなっていた。

警察に「人を殺した」と通報したのは内縁の夫(51才)でした。
警察官が現場に到着して車内を確認すると、母親と子供は首を刃物で刺されて亡くなっており、内縁の夫は運転席で首や腹に刺し傷があり意識がもうろうとしていた状態であった。

車内には大量の血が流れており、殺害に使われた刃物が発見された。
また車のそばからは練炭の入った七輪も見つかっていた。
親子には抵抗して争ってできる傷がないことから無理心中を図ったと思われた。

唯一の生存者である内縁の夫の容態が回復した後、4人を殺害したことを認めた。
当初は練炭自殺を図ったと思われるが、練炭では死にきれずに内縁の夫が刃物で親子の首を刺し殺したようだ。
その後、自身も首や腹を刺したが死にきれなかったと思われる。

練炭の一酸化炭素の濃度は意識を失うほどの強いものではなかったことから、
親子は意識のあった状態で首を刺されて亡くなったとみている。
3人の子供達は意識がある中、順番に抵抗もせずに死を受け入れて首を刺されて亡くなっていったのでしょう。

今年8月に親子を殺害した内縁の夫に懲役8年の判決が言い渡された。
検察側の求刑は懲役10年でしたが2年も少ない量刑となった。
どんな理由であれ子供を含む4人の命を奪ったことには変わりありません。
殺人罪での量刑は重くて極刑(死刑)か無期懲役です。
なぜ今回このような判決になったのか、
私がその理由を聞いたときは、あまりにも無残で悲しすぎて涙がでるほどでした。

亡くなった母親には別に成人した子供が3人いた。
この3人の子供達は別居中の夫と暮らしていたようである。
内縁の夫とは10年前に知り合い、同じアパートの隣同士の部屋を借りていた。
この内縁の夫には離婚歴があり子供が3人いるようだ。
一緒に住まなかったのは、母子手当等の事情もあったのかも知れませんね。

近所の人の評判は、内縁の夫を含めて仲の良い家族だと思っていたそうだ。
但し、子供達が通う学校では母子家庭と認識していた。
歩夢君の将来の夢は自衛隊に入ることで、双子の娘はまじめで礼儀正しい子供であったようだ。

事件の前日、母親から家の用事で学校を休むと学校に連絡が入っている。
この時には一家心中を決意していたと思うとやりきれない。
当日は歩夢君の高校入試の願書のことで担任が放課後連絡したが、母親は電話にでることはなかった。

事件後、一命をとりとめた内縁の夫が裁判の初公判で語った内容は以下になる。

『4人を殺害したことは間違いないことを認める。
ただ事件という認識はなく、あの時はみんなで一生懸命に考えて決めたことなので後悔はないと語った。
心中はみんなの総意であることを主張していた。

また心中に至る経緯も語っており、母親の経済的に貧困生活が続いたことを
あげている。
昨年の2月から勤務している職場での人間関係の悩み、また昨年11月には
児童扶養手当法改定により手当が減額したことも影響しているようだ。
内縁の夫自身も商売に失敗して借金を抱えているようで、母親も生活維持の
ために借金があったように思える。
また歩夢君の高校進学に掛かるお金のことも影響していたかもしれないと
個人的に感じる。

昨年末から母親は「死にたい」と口にするようになり、内縁の夫は励ましの
言葉をかけたりしていた。
そして今年の1月10日に「自分を褒めてあげるわ」とLINEで内縁の夫に返信があった。
子供のころから辛い思いをしてきたので、今まで頑張ってきた自分を褒めてあげて人生を終わりにしようと決意したと感じたようだ。
内縁の夫もこの時点で自殺願望を受け入れて向かい合うようになった。
 
事件の3日前に母親は「自分だけでなく、子供達も一緒に殺してほしい」と
お願いをされた。
もちろん一度は断ったが、事件前日の夜に改めて「5人で一家心中したい」と言われ了承したようだ。

子供達には事件前日の夜と当日の朝に話をしたようで、途中1時間ほど内縁の夫が話合いから抜けている間に母親と子供達の間で決めたと語る。
これが本当なら母親は何を語ったのでしょうか、
「あなた達のためにお母さん頑張ってきたけど、もうお金もなくなってあなた達を幸せにできなくなった。
幸せにできる自信もない。
お母さんは死ぬことを決めた。
只、あなた達をこの世において死ぬことができない。
一緒に付いてきて欲しい。」と言ったのでしょうか。

1月21日の朝に学校に欠席の連絡をいれて、自殺に使う練炭にロープ、そして包丁を購入して水石山公園の駐車場に昼過ぎに到着した。
夕方になり、なるべく苦しまず死ねるように「練炭での自殺」を試みた。
死に至らなかった為、次は「ロープでの殺害」を内縁の夫が実行した。
一度みんなを車から降ろし、茅乃ちゃんだけを車に乗せてロープで首を絞めた。茅乃ちゃんは苦しむが死には至らなかった。
最後に「包丁で首を刺して殺害」の方法をとることにした。
茅乃ちゃんが先に殺害され、続いて歩夢君、海音ちゃん、母親と殺害した。
4人とも出血性ショック死であった。

そして内縁の夫は死にきれず生き残っている。
裁判では「恥です。死に遅れたのは恥だと思います」と言っているが本当だろうか。
本当に5人で心中することになっていたのか疑問です。』

この裁判での懲役8年の判決、4人もの尊い命を奪っておいての殺人罪の量刑なのか。
これは殺人容疑で逮捕された内縁の夫が、嘱託殺人罪と承諾殺人罪で起訴されていたからだ。

※嘱託殺人:殺される人(被殺者)からの依頼に応じて殺害する犯罪
 承諾殺人:殺害されることに同意を得て殺害される犯罪
 この2つの殺人をまとめて同意殺人と呼ぶ

母親からは殺人の依頼を受けていたことから嘱託殺人罪になり、子供達からは
殺害されることの同意を得ていたことから承諾殺人罪が成立したことによる。

最後に4人が亡くなった後に、自宅からは双子の姉妹が書いたと思われる遺書もみつかりました。
その遺書には友達への感謝の言葉が書き残されていたようです。
そして歩夢君の自衛隊の夢は、はかなく消えていきました。

個人的意見を言わせて頂きます。

内縁の夫、何をしている!
商売に失敗した!
借金が数百万ある!
そんなのあなたの責任と判断の結果じゃないですか!

そんな中で3人の連れ子がいる女性に惚れて付き合うようになった。
あなたに4人を守っていく必死の覚悟はあったのか!
あなたの男としてのけじめと覚悟って何ですか?
お金をお借りしている先の方には申し訳ありませんが、
なぜ破産宣告しなかったのですか?
なぜ5人で歩んでいくスタートラインを引けなかったのですか?

あなたが惚れた女性が自殺をしたいほど追い込まれていた。
なぜその苦しみを必死に背負ってあげられない!
面倒くさいと思ったのか!
面倒くさいから、俺も自殺なのか!
でもあなたは生きているじゃないか!
5人で歩んでいく覚悟もなかったなら、最初から近づいて欲しくなかった。

子供を甘くみるな!
なぜ子供達の凄まじいほどの母親に対する思いに気がつかなかった!
どんなに貧困でも、頑張る母親の愛情を十分に感じていた。
どんなに貧困でも、あの子達は幸せを感じていた。
だから自殺の道連れを受け入れた。
なぜそれに気がつかなかった!
気がついていれば生きていく選択肢があったはずだ!

あの子達が生きていたら、思いやりを強く持った大人になっていたはずです。
自殺まで考えている母親には、3人の子供を守り生きていくための冷静な判断は出来なかったと思います。
4人を守る強い意志のもと、本来であれば内縁の夫に世間の目を怖がらず自身のプライドも捨て、生きていく為に出来ることを行ってほしかた。

出来る事はいくらでもあったと思います。
母親の実家、別居中の夫や成人した子供、行政機関や児童相談所への相談。
また多重債務(借金)のことも市役所相談窓口や消費者生活センター・国民生活センター等で相談にのってもらえたはずです。

日本の貧困率は15.7%で7人に1人の子供が貧困とされています。
これが片親の家庭では50%が貧困とされています。

政治家の方、行政機関の方、学校の方、出来ましたらお願いします。
我々の身近に貧困で苦しんでいる子供がいます。
必死に子供を守ろうと頑張っている親がいます。

一人で悩まない! 一人で悩ませない!!
貧困で苦しんでいる子供を持つ親が、様々な救済の情報が目に入はいり気楽に
相談が出来る環境つくりをお願いしたいです。

私は今回のこの痛ましい事件で、あの3人の子供達に教えてもらいました。
親は子供の為なら自分の命を犠牲に出来きるものです。
子供は苦しむ親の為に自分の命を犠牲に出来る!
だからこそ二度と同じことが繰り返されない為に大人達が一丸となることです。

3人の子供達が命を引き替えに教えてくれたメッセージを、絶対に無駄にせず風化させないことが重要です。